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のんびり気ままに、安らぎも忘れずに。
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 今日もやっぱり、笠井さんは屋上で街を眺めている。
 夕陽に照らされたその背中は哀愁が漂っていて、俺はほんの一瞬、声を掛けることを躊躇った。
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 小さな頃、一度だけ動物を飼ったことがある。
「それは無理だ」
 大学寮の管理人室。
 切羽詰まった表情で訪れた娘に、私はきっぱりとそう答えた。
 雑然とした室内を見渡すと、坂井は目的の人物に声を掛けた。
「おい笠井」
「課長、よびましたー?」
 手招きをすると、およそ刑事らしくない服装の警部補は、にへらとしまりのない笑顔を浮かべてよってくる。
 自慢じゃないが、俺は12の歳から女に不自由したことはなかった。
 近づいてくる女は、大抵、俺の家柄や立場に目の眩んだ連中だったが、異性に関心を持ち始めたばかりで、しかもかなりスレた可愛げのない餓鬼だった俺は、これ幸いと色々な相手と遊び歩いた。
 そんな俺が片恋、それもよりにもよって男のおの字も知らないような天然娘だとは、あの頃の自分からは到底信じられない展開だ。
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