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のんびり気ままに、安らぎも忘れずに。
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 数日振りに猛暑がなりを潜めた土曜日の午後。
 寮生達も皆それぞれに休日を謳歌していて、ひっそりと静まり返ったこの時間帯は、本当なら至福の時のはずだった。
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「……え?」
 皿に乗った白身魚の解剖に勤しんでいた少女は、世にも嫌そうな表情を浮かべて反問した。
 朝靄が、街を包む。
 白く街を塞ぐそれは、仄かな邪気を朝の澄んだ空気の中に溶け込ませていた。
「今日はありがとう、また今度」
 そう言って、僕は今日のデートの相手にヒラヒラと手を振った。
 食堂で給仕をしている、赤毛の魅力的な子だ。
 彼女が自宅に入っていくのを見送って、さて寮に戻ろうかと踵を返したところで、僕はあれ、と呟いて足を止めた。
「えー、やぁーだぁー」
不意に車内に響いた甘えた声に、私は先輩作家の最新刊から目を上げた。
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