のんびり気ままに、安らぎも忘れずに。
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朝靄が、街を包む。
白く街を塞ぐそれは、仄かな邪気を朝の澄んだ空気の中に溶け込ませていた。
白く街を塞ぐそれは、仄かな邪気を朝の澄んだ空気の中に溶け込ませていた。
「あーあ、こんな朝早くから……」
ぼやくのは、白い胴着に身を包んだ少年だ。
長身とまではいかないものの、幼い頃から武術をたしなんできた身体は、すんなりと均整が取れている。
眠そうなその視線の先には、長い髪をポニーテールにした少女の背中がある。
「――来るよ」
少女の前方数メートルの位置で、白い靄が人の形を形作る。
「んじゃ、行ってこい」
胴着の懐から数枚の札を取り出し、少年が言う。
「契約の名の下に、汝を使役する――急急如律令!」
少年の声に呼応するように、少女の髪が深い緋色に染まっていく。
鬼としての力を解放した少女が、人型をとる靄へと猛スピードで駆け寄る。
未だ完全には実体化していない靄から腕が伸び、長く鋭い爪が少女に向かって伸びる。
「!」
咄嗟に避けようとする少女の身体を、爪が薙ぐ。
ほんの一瞬、血しぶきをあげたかに見えたその身体は、次の瞬間分断された呪符に姿を変えた。
「お前なんか、あいつには指一本触れさせねえよ」
指先に挟んだ符を構え、少年は不敵に笑った。
ぼやくのは、白い胴着に身を包んだ少年だ。
長身とまではいかないものの、幼い頃から武術をたしなんできた身体は、すんなりと均整が取れている。
眠そうなその視線の先には、長い髪をポニーテールにした少女の背中がある。
「――来るよ」
少女の前方数メートルの位置で、白い靄が人の形を形作る。
「んじゃ、行ってこい」
胴着の懐から数枚の札を取り出し、少年が言う。
「契約の名の下に、汝を使役する――急急如律令!」
少年の声に呼応するように、少女の髪が深い緋色に染まっていく。
鬼としての力を解放した少女が、人型をとる靄へと猛スピードで駆け寄る。
未だ完全には実体化していない靄から腕が伸び、長く鋭い爪が少女に向かって伸びる。
「!」
咄嗟に避けようとする少女の身体を、爪が薙ぐ。
ほんの一瞬、血しぶきをあげたかに見えたその身体は、次の瞬間分断された呪符に姿を変えた。
「お前なんか、あいつには指一本触れさせねえよ」
指先に挟んだ符を構え、少年は不敵に笑った。
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