のんびり気ままに、安らぎも忘れずに。
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ハロウィン何かしたいよーと思ったまではいいんですが、企画を立てるほどの時間も、そのためのページ作ったり何やかやする時間もないので、ここでひっそりとハロウィン小説やら小ネタやらを書き連ねてみることにします。
期間は今から、1週間くらいでしょうか。
気付いたのが遅かったから、ハロウィン当日じゃなく、ちょっと先まで頑張ります(笑)
そんなわけでハロウィン小説その1。格納します。
期間は今から、1週間くらいでしょうか。
気付いたのが遅かったから、ハロウィン当日じゃなく、ちょっと先まで頑張ります(笑)
そんなわけでハロウィン小説その1。格納します。
《おカシをわたしなサイ、さもナいト……》
唐突な声に、中山友香は訝しげに眉を寄せながら、背後に視線を送った。
「……何、これ?」
腰よりも低い位置からこちらを見上げていたのは、二等身の奇妙な物体だった。
身体に相当する部分には黒いマントを纏い、その上にはオレンジ色の巨大なカボチャが黒い三角帽をのせて笑っている。くりぬかれた目と口の奥で、オレンジの明かりが明滅しているのが、ちょっと不気味だ。
「これって、ジャック……何だったっけ」
《おカシをわたしなサイ》
候補生時代に習った人界の慣習を思い出しながら呟いた友香に、オバケカボチャが再び機械的な声を発した。同時に、ギギ、と軋みをあげつつマントからは虫取り網が出現する。
察するに、そこに菓子を放り込めということらしい。
「レイね……」
開発長レイ・ソンブラの顔を脳裏に思い浮かべながら、友香は苦笑を漏らした。
こういうくだらない思いつきに全知識と技術をつぎ込むのは、彼の得意とするところだ。
だが、彼女のそんなのんびりとした述懐を、機械音が寸断した。
《ケイコクしマス。おカシをわたしなサイ、さもナいト……》
物騒な発言とともに、ピピピ、という電子音が鳴り響く。
「え……?えぇっ!?」
目を丸くする友香の目前で、オバケカボチャの口の奥が光り出す。
《ケイコク、ケイコク。さもナいト、さもナいト……》
ピピピピピピピ、と危機感を煽る音が激しさを増し--
--パンッ!
軽い破裂音と同時に、オバケカボチャの顔がふたつに割れ、中から紙吹雪が飛び出した。
ヒラヒラと舞い落ちる紙吹雪が、廊下を極彩色に彩っていく。
ひとしきり紙吹雪を散らすと、オバケカボチャは再びギギギと音を立てながら、ふたつに割れた顔を持ち上げ、元の姿に戻った。
「…………」
《ニンム、カンリョウ。ツギのターッゲット、を、サガしマス》
呆然と見守る友香の視線に構わず、オバケカボチャはくるりと方向を変えて動き出す。
《ロウカは、キレイに。ロウカ、は、キレイに、しテく、だサイ》
「ちょ……っ、汚したのはそっちでしょー!?」
床を滑り、瞬く間に遠ざかろうとするオバケカボチャが、そんな抗議を聞き入れる筈もなく。
「嘘でしょ……って、ちょっと待って、まさかまだやる気なの!?」
唖然とする友香の足元で、紙吹雪の残骸がフワリと揺れた。
……冷静に考えると、ちょっと怖い(笑)
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