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……まだ親友。多分親友。
5分でぱぱっと書いたので、乱文すみません。

しかもアップしてから修正しました。すみません(恐縮)
先に推敲してからあげようよ、あたし。

「あー。火村、アイスコーヒーあれへん?」
勝手知ったる何とやら。
人の下宿に勝手に上がり込んだこの学友は、開口一番そう言うと、リクルートスーツのジャケットを勢いよく脱ぎ捨てた。
「あーもー。何でこんな暑いねん。まだ5月やぞ。」
「ついこないだまで、寒い寒いって騒いでたのはどこの誰だったっけな。」
「俺のデリケートな身体には、京都の日差しがきつすぎるんやな、うん。」
「今からそんなこと言ってると、夏場がもたねえぞ。」

 今日の気温は22度。
 花冷えも去り桜が散って、新緑が色濃くなり始めた、京都でもっとも過ごしやすい時期だ。あと2週間もすれば、今度は早くも真夏の日差しが照りつけ始める。見事なまでの盆地気候だ。

「ほんまやね。早いとこ内定もらわな、こんな暑いもん着て外なんか歩かれへんし。」
濃いめのコーヒーに大量の氷を落としたマグカップを手渡すと、軽く礼を言って、アリスはそれを一気に飲み干した。
「おかわり。」
「そこにある。自分で入れやがれ。」
「えー、いれてーな。君には、厳しい世間の風に晒されて帰ってきた親友を労ろうって気持ちがないんかい。」
「ここは俺の部屋で、お前は勝手に上がり込んできた侵入者。以上。」
「冷たい男やな……こんな男の嫁さんになる人がかわいそうや。」
「……どうやったら、そこまで突然思考が飛ぶんだよ?」
「でも安心せえや、火村。この俺がみっちり鍛えたるからな。」
「は?」
突然、意味不明の宣言をすると、アリスはにっこりと笑った。
「俺が、君を理想のダンナに仕立て上げたるわ。」
「……おい。」
まったくもって文脈の欠落した展開についていけず、俺は眉を顰めた。
そんな俺に構わず、アリスは一人でうんうんと頷いている。
「君、ただでさえもてるのに、これでもう向かうところ敵なしやな。そらもう、だれからも羨ましがられる理想の旦那様やで。」
「……。」
もはやどこにツッコミを入れるべきなのかすらわからない。呆れている間にも、アリスの独り合点は続いている。
「あー、俺ってほんまに親友甲斐あるわー。」
「……こら、そこの馬鹿。」
「火村もそう思うやろ?せやんなー。」
「人の話を聞け。それから、曲がりなりにも推理作家志望なら、もう少し論理的に話せ。」
「そやし、おかわりちょーだい。」
「…………てめえ。」

差し出されたマグカップと満面の笑み。
結局、そこに戻るのか。

渾身の力を込めて睨み付けても、アリスの笑顔はまったく揺るがない。
諦めて、俺は溜息とともにカップを受け取った。

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